古民家リノベーションの魅力・注意点・費用相場とおしゃれな事例を紹介

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地方移住や田舎暮らしに魅力を感じて、古民家リノベーションを希望する人が増えています。
「古民家リノベーションの魅力は?」
「費用はいくらかかる?注意点はある?」
という疑問を抱えている人もいるでしょう。
そこで今回は、古民家リノベーションの魅力・注意点と費用相場を紹介していきます。おしゃれな実例もありますので、古民家を購入予定の方はぜひご覧ください。

<目次>

  1. 1. 古民家リノベーションの魅力とは
    1. 1-1. 古民家リノベーションとは
    2. 1-2. 趣のある日本家屋を楽しめる
    3. 1-3. 地域の気候にあった暮らしができる
    4. 1-4. 固定資産税が軽減できる
  2. 2. 古民家リノベーションするときの注意点
    1. 2-1. 耐震補強と寒さ対策が必要になることがある
    2. 2-2. バリアフリー工事を検討する
    3. 2-3. 水廻り設備の入れ替えを検討する
    4. 2-4. セキュリティ補強が必要になることがある
  3. 3. 古民家リノベーションの相場と費用を抑えるコツ
    1. 3-1. 補助金・減税制度を利用する
    2. 3-2. 建築家に依頼する
  4. 4. 古民家リノベーションのおしゃれな事例
    1. 4-1. 事例1:柱や梁を残した吹き抜けリビング
    2. 4-2. 事例2:土間でつながる二世帯住宅
    3. 4-3. 事例3:坪庭を楽しむ家
    4. 4-4. 事例4:宿泊施設に生まれ変わった古民家
  5. 5. まとめ

1. 古民家リノベーションの魅力とは

草津の板間 (建築家 : 鴻野 吉宏) の作品画像 草津の板間 (建築家 : 鴻野 吉宏) の作品画像 草津の板間 (建築家 : 鴻野 吉宏) の作品画像
草津の板間 鴻野 吉宏 | futuretank architects 一級建築士事務所

まずは、古民家リノベーションの特徴と魅力を紹介していきます。

1-1. 古民家リノベーションとは

古民家リノベーションとは、昔の住宅を現代の暮らしにあわせて改装・リフォームすることです。古民家の定義に明確なものはありませんが、多くは築50年以上の家を指します。

リノベーションとは、もともとの建物に新たな機能や付加価値をつける改装工事のことです。家の性能を高めるための工事を行ったり、生活スタイルにあわせて間取りを変更したりします。

1-2. 趣のある日本家屋を楽しめる

residence jo kamisannomiya (建築家 : 竹内 誠一郎) の作品画像 residence jo kamisannomiya (建築家 : 竹内 誠一郎) の作品画像 residence jo kamisannomiya (建築家 : 竹内 誠一郎) の作品画像
residence jo kamisannomiya 竹内 誠一郎 | 竹内誠一郎建築研究所

古民家リノベーションの魅力は、なんといっても趣のある日本家屋を楽しめることです。大きな柱や梁を残した室内デザインは、新築住宅では作れません。

リノベーションでは、従来の佇まいはそのまま残し、新しい設備を加えて現代の暮らしにあわせていきます。まるで旅館に泊まっているような非日常の高揚感はありながらも、くつろげる空間が楽しめるでしょう。

1-3. 地域の気候にあった暮らしができる

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residence jo kamisannomiya 竹内 誠一郎 | 竹内誠一郎建築研究所

その地域の気候にあった暮らしができるのも古民家リノベーションの魅力です。古民家では、土地の暮らし方にあわせた間取りがつくられています。

例えば、京都の町屋は家の中に風を通しやすく、夏は涼しく暮らせます。また、田園が広がる地域では、日当たりの良い場所に広い縁側があり、冬の穏やかな日差しを取り入れられるもの。

その土地に暮らした先人たちの知恵をそのまま残し、季節を身近に感じられることが、家古民家リノベーションならではの魅力といえるでしょう。

1-4. 固定資産税が軽減できる

住宅の固定資産税は、建物の築年数が経過しているほど安くなります。そのため、古民家をリノベーションすると住宅取得税や固定資産税が、新築よりも軽減できるのもメリットの一つです。

ただし、増築をしてしまうと固定資産税が高くなることもあるので注意しましょう。

2. 古民家リノベーションするときの注意点

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residence jo kamisannomiya 竹内 誠一郎 | 竹内誠一郎建築研究所

古民家は、新築の住宅を購入するより費用を安く抑えられます。しかし、古民家を購入して失敗したと思わないためにも問題点は先に知っておきたいものです。

ここからは、古民家リノベーションの注意点を解説していきましょう。

2-1. 耐震補強と寒さ対策が必要になることがある

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草津の板間 鴻野 吉宏 | futuretank architects 一級建築士事務所

古民家の多くは、築50年以上もしくはそれ以上で、1981年の建築基準法改正前の「旧耐震基準」で建築された建物です。安全に暮らすためにも、耐震診断・耐震補強を行いましょう。

また、古民家リノベーションでは寒さ対策も重要です。古民家では、高温多湿な日本の夏を過ごしやすくするため、風通しの良い間取りが多くみられます。

しかし、冬は寒くなりがちであるため、寒さ対策として断熱工事を検討したいものです。サッシを複層ガラスサッシに変更する、断熱材の補填をするといった修繕をおすすめします。

また、高天井も古民家の魅力の一つですが、暖房効率は悪いのが欠点です。床暖房や薪ストーブを設置するという方法も検討しましょう。

2-2. バリアフリー工事を検討する

築年数の経った住宅は床の段差があるケースが多く、バリアフリー工事が必要になるかもしれません。古民家では、玄関から炊事場まで土間でつながり、座敷との間に高い段差があるケースもみられます。

段差をなくすバリアフリー工事をして、子どもも大人も暮らしやすい家にリノベーションすることが、古民家に長く住み続けるためのコツです。

2-3. 水廻り設備の入れ替えを検討する

湯沢の二世帯住宅 〜土間と廻り廊下の空気層〜 (建築家 : 納谷 学) の作品画像 湯沢の二世帯住宅 〜土間と廻り廊下の空気層〜 (建築家 : 納谷 学) の作品画像 湯沢の二世帯住宅 〜土間と廻り廊下の空気層〜 (建築家 : 納谷 学) の作品画像
湯沢の二世帯住宅 〜土間と廻り廊下の空気層〜 納谷 学 | 納谷建築設計事務所

古民家リノベーションの多くは、お風呂・キッチン・トイレなど水廻り設備の入れ替えを行います。

築50年以上が経過した古民家の設備は、現代の新しい家とは仕様が異なるもの。台所が土間、和式トイレといった間取りもあるため、現代の生活スタイルにあった設備改修が必要になると考えておきましょう。

2-4. セキュリティ補強が必要になることがある

古民家には、開放的な間取りが多くセキュリティ面に不安を感じる人がいます。マンションのオートロックや新しい家とは違い、玄関は大きな引き戸で、入り口が複数あることも少なくありません。

セキュリティを補強するには、鍵付きの玄関サッシに入れ替える、シャッターをつけるといった工夫がおすすめです。

3. 古民家リノベーションの相場と費用を抑えるコツ

House of Shiotomido (建築家 : 澤田 航 ・ 橋村 雄一) の作品画像 House of Shiotomido (建築家 : 澤田 航 ・ 橋村 雄一) の作品画像 House of Shiotomido (建築家 : 澤田 航 ・ 橋村 雄一) の作品画像
House of Shiotomido 澤田 航 ・ 橋村 雄一 | Sawada Hashimura

古民家のリノベーションを検討するときには、価格も知っておきたいもの。もともとの家の大きさや建物の状態によって変わるため一概にはいえませんが、費用相場は1,500万円ほどです。

内装や水廻りのリフォームのみであれば300〜500万で済むこともありますし、新たに古民家を購入し、耐震補強・断熱工事などをするときは1,000〜1,500万円かかることもあるでしょう。

そして、何世代も受け継いだ家屋を修繕するときや、こだわりの内装を希望すると2,000万、3,000万円がかかることもあります。

しかし、古民家再生ならではの費用を抑えるコツがあるため、次の項で詳しく解説していきましょう。

3-1. 補助金・減税制度を利用する

古民家リノベーションの費用を抑えるには、自治体の補助金制度や減税制度を利用しましょう。古民家に限らず、住宅リフォームには減税制度があります。

省エネ性能を上げる、バリアフリーにする、耐震補強をする、といったリフォームが対象です。工事内容が条件に合うかを確認しましょう。

補助金の額や条件は自治体によってさまざまですが、利用できる助成制度を調べて、積極的な活用をおすすめします。

3-2. 建築家に依頼する

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residence jo kamisannomiya 竹内 誠一郎 | 竹内誠一郎建築研究所

改修費用を抑えるには、建築家に依頼することをおすすめします。建築家と聞くと、費用が高くなるイメージがあるかもしれません。けれど、古民家のリノベーションではハウスメーカーよりも割安になることが考えられます。

ハウスメーカーが得意な分野は、パッケージ化された規格住宅を安く提供することです。古民家リフォームでは、従来の家屋にあわせた部材を選ばなければならないため、規格外部材や特注品が増えてしまいます。

また、工務店に依頼すると、費用は抑えられてもデザインや設計の面でイメージと違ってしまうかもしれません。

そこで、設計事務所に依頼すると、デザインも資材も思いのままに選べて、予算の相談もで可能です。規格プランを持たない建築家は、古民家の状態にあわせて柔軟な対応ができるもの。

こだわりの部分には費用をかけ、それ以外はコストを抑えるという、メリハリの利いた設計にも対応できます。古民家リノベーションで希望を叶えるには、建築家に依頼するのはふさわしい選択といえるでしょう。

4. 古民家リノベーションのおしゃれな事例

ここからは、古民家リノベーションのおしゃれな事例を写真付きで 4 つ紹介していきます。

いずれも、古民家そのものが持つ魅力を存分に引き出すために、建築家のアイディアを盛り込んだリノベーション住宅です。おしゃれな古民家リノベーションを希望する人は、これから改装する住宅のイメージ作りに役立ててみてください。

自分の希望や条件に合った古民家リノベーションをしてくれる建築家と話がしてみたい・紹介してみてほしいという方は、タイテルの建築家紹介 も便利です。

4-1. 事例 1:柱や梁を残した吹き抜けリビング

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residence jo mibu banba 竹内 誠一郎 | 竹内誠一郎建築研究所

木造2階建ての町屋をリノベーションした事例を紹介します。吹き抜けのリビングを設け、大きなガラス窓の向こうに坪庭が臨める大空間が仕上がりました。

2階へと続くスケルトン階段は、踏板の間からも光が通り開放感を損ないません。長い間、建物を支えてきた柱や梁はそのまま残し、現代の住まいと調和させています。

続いて、建物の外観をみてみましょう。

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residence jo mibu banba 竹内 誠一郎 | 竹内誠一郎建築研究所

現代風に色を塗り替えつつも、伝統的な瓦屋根や雨戸を残すことで、従来の街並みにも馴染んでいますね。

ひとたび玄関を開ければ、長屋の奥までつながる土間の足元を、間接照明がほのかに照らしています。町屋特有の、落ち着きと静けさを感じる和モダン住宅が仕上がりました。

4-2. 事例 2:土間でつながる二世帯住宅

湯沢の二世帯住宅 〜土間と廻り廊下の空気層〜 (建築家 : 納谷 学) の作品画像 湯沢の二世帯住宅 〜土間と廻り廊下の空気層〜 (建築家 : 納谷 学) の作品画像 湯沢の二世帯住宅 〜土間と廻り廊下の空気層〜 (建築家 : 納谷 学) の作品画像
湯沢の二世帯住宅 〜土間と廻り廊下の空気層〜 納谷 学 | 納谷建築設計事務所

秋田の築150年住宅を、二世帯住宅に改修した事例を紹介します。雪の深い地域であるため、寒さ対策が必要です。そこで居住空間の外側に土間をぐるっと回し、空気層を作りました。

ふんだんに光を取り込む長い土間は、子世帯と親世帯をゆるやかにつないでいます。親世帯の土間はスロープになっているため、車椅子でも出入りがスムーズでしょう。

湯沢の二世帯住宅 〜土間と廻り廊下の空気層〜 (建築家 : 納谷 学) の作品画像 湯沢の二世帯住宅 〜土間と廻り廊下の空気層〜 (建築家 : 納谷 学) の作品画像 湯沢の二世帯住宅 〜土間と廻り廊下の空気層〜 (建築家 : 納谷 学) の作品画像
湯沢の二世帯住宅 〜土間と廻り廊下の空気層〜 納谷 学 | 納谷建築設計事務所

リビングは、迫力のある丸太梁がみえるよう勾配天井にしています。天井裏に断熱材を施し、寒さ対策をしながらも木のぬくもりが感じられる住宅が完成しました。

4-3. 事例 3:坪庭を楽しむ家

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residence jo kamisannomiya 竹内 誠一郎 | 竹内誠一郎建築研究所

長屋をリノベーションした事例を紹介しましょう。既存の小屋裏を利用した天井の真ん中に、天窓をつけて光を取り込んでいます。

小上がりになった畳スペースの向こう側の窓には、坪庭の景色を楽しめます。壁面につけた間接照明で明るさを抑え、落ち着きのある寝室が出来上がりました。

4-4. 事例 4:宿泊施設に生まれ変わった古民家

古民家ヴィラ「あんたげ」 〜棚田を未来へ繋ぐ土間空間〜 (建築家 : 納谷 学) の作品画像 古民家ヴィラ「あんたげ」 〜棚田を未来へ繋ぐ土間空間〜 (建築家 : 納谷 学) の作品画像 古民家ヴィラ「あんたげ」 〜棚田を未来へ繋ぐ土間空間〜 (建築家 : 納谷 学) の作品画像
古民家ヴィラ「あんたげ」 〜棚田を未来へ繋ぐ土間空間〜 納谷 学 | 納谷建築設計事務所

棚田の中に建つ古民家を、宿泊施設にリノベーションした事例です。広い土間空間の食堂の向こうには、心地よい田園風景が広がっています。

風を取り込む大きな開口部、ダイナミックな梁見出しの高天井を持つ食堂は、開放感がありリラックスした食事の時間を過ごせるでしょう。

5. まとめ

日本家屋の風情を保ちながら、現代の暮らしを実現できる「古民家リノベーション」。税金の優遇や補助金制度が利用できるのも魅力の一つです。柱や梁を見せたり土間を設けたりなど、おしゃれなデザインを作るアイディアはたくさんあります。

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